私が「高額な自己投資」に見切りをつけた理由。グローバル企業とAIには勝てない時代の生存戦略

副業

投資に興味を持ち始めたとき、メディアやビジネス書でこんな言葉を目にしたことはありませんか?

「若いうちは株式投資なんてしなくていい。まずは自己投資をして、自分の稼ぐ力を上げなさい」

少し前まで、この考え方は一種の常識のように語られていましたよね。「将来のために何かスキルを身につけなきゃ」と焦ってしまうお気持ち、痛いほどよくわかります。私自身も、自分のキャリアについてたくさん悩んできました。

しかし、本当に「自己投資が常に最良の投資」なのでしょうか?

新NISAの普及もあり、今や株式投資はごく一部の資産家のものではなく、私たちの生活に密着した一般的なものになりました。
(参考:日本証券業協会 NISA口座開設・利用状況調査結果

資産形成の手段がこれだけ手軽になり、優れた金融商品に誰でもアクセスできるようになった今、私は「高額なお金をかける自己投資」に対して、かなり懐疑的な見方をしています。

今回は、私がなぜ高額な自己投資に見切りをつけたのか。そして、この時代にどう自分をアップデートしていくべきなのか、論理的かつ実践的な視点でお話しします。


自己投資至上主義への疑問

株式投資より自己投資を勧めるメディアの罠

メディアやSNSを見ていると、今でも「株式投資より自己投資だ!」と声高に叫ぶインフルエンサーをよく見かけます。

高額なプログラミングスクール、オンラインサロン、情報商材……。世の中には、私たちの成長意欲をくすぐるサービスが溢れています。メディアが自己投資を推奨する背景には、そういった教育・スキルアップ市場のビジネス構造が絡んでいる側面も否定できません。

私たちがここで冷静に見つめなければならないのは、発信される情報の根底にある「生存者バイアス」です。

私たちが目にする成功例はほんの一握り

「100万円のスクールに通って独立し、年収が3倍になりました!」
「自己投資を惜しまなかったおかげで、今の成功があります」

こうした輝かしいエピソードを聞くと、「自分もお金をかければ成功できるのでは」と希望を抱いてしまいますよね。しかし、これがまさに生存者バイアスの罠なのです。

【メディアが映し出す「自己投資」の現実(氷山の一角)】

▲ メディアで紹介される人(大成功した一握り)
▲▲ ←「自己投資のおかげだ!」という声だけが目立つ

海面(見えない境界線)

▲▲▲▲▲
▲▲▲▲▲▲▲ ← 高額な自己投資をしたものの、リターンを得られなかった人たち
▲▲▲▲▲▲▲▲ (声なき多数派。メディアには決して登場しない)

メディアに登場するのは、激しい競争を勝ち抜き、たまたまその時代や職種にフィットして「生き残った人」だけです。
水面下には、高額な自己投資をしたものの、給料が上がらなかったり、投資資金を回収できなかったりする「声なき多数派」が存在しています。

株式投資ではリスクとリターンを冷静に計算するのに、なぜか「自己投資」となると、私たちはこの「失敗する確率(リスク)」を見落としがちになってしまうのです。


インデックス投資の強さから逆算する個人の限界

「自己投資の利回りは無限大だ」という言葉もあります。確かに、未経験から新しいスキルを身につけて大きく稼げるようになれば、その通りかもしれません。

しかし、私たちがNISAなどで買っている「オルカン(全世界株式インデックス)」の強さを考えると、一個人がそれに勝つことのハードルの高さが見えてきます。

世界中の競争を勝ち抜いた企業群の利益成長率

オルカンをはじめとする多くのインデックスファンドは、「時価加重平均」というルールで運用されています。
過去記事でもお伝えした通り、このルールの最大の強みは「グローバルで利益成長率が高く、勝っている企業が自動的に主力銘柄になる」という点です。

世界中の優秀な頭脳を集め、莫大な資金を投じて、24時間体制で利益を追求するエリート企業たち。オルカンに投資するということは、この「世界トップクラスの企業群が生み出す利益成長」に相乗りすることを意味します。

そこに一個人で挑むことの無謀さ

株式投資に回すお金を減らして「高額な自己投資」に資金を全振りするということは、「自分自身の利益成長率が、オルカンを構成するグローバル企業の利益成長率を上回る」という方にベットする(賭ける)ということです。

比較項目オルカン(全世界株式)個人の自己投資
プレイヤー世界中の優秀な人材の集合体自分一人
活動地域世界中の成長市場に分散・進出日本(あるいは特定の地域)に限定
職種・事業時代に合わせて成長産業へ自動シフト自分が選んだ特定の職種のみ
資金力莫大な資本個人の限られた貯蓄

いかがでしょうか。私たち個人の自己投資は、住む場所にも縛られ、これから学ぼうとする職種が5年後も適正に稼げるものかわからない状態からのスタートです。
もし、誰もが高額な自己投資で世界トップ企業群以上の利回りをポンポン出せるなら、投資家たちは株なんて買わずに自分に投資しているはずです。

元エンジニアということもあり、私はどうしても論理的に考えてしまいます。この圧倒的に不利な条件の中で、数十万円という高額な資金を投じて「私はグローバル企業に勝てる!」と胸を張って言える自信が、正直なところ私にはありません。


論理的思考のコモディティ化とAIの脅威

「だから何も学ぶな」と言いたいわけではありません。私が危惧しているのは、「大金を払ってスキルを買おうとする」ことのリスクです。

なぜなら、私たちが身につけようとしているスキルの価値自体が、生成AIの進化によって劇的に下がろうとしているからです。

AIの発達で「考えること」の価値はどう変わるか

これまでビジネスの世界で高く評価されてきた「論理的思考力(ロジカルシンキング)」や「情報整理力」。事実を分析し、わかりやすい文章やコードにまとめるスキルを求めて、多くの人が高額なスクールに通ってきました。

しかし現在、この状況は一変しています。
私たちが何時間もかけて頭を悩ませていた「構成案の作成」「データ分析」「基礎的なプログラミング」といった作業を、AIは一瞬にして、しかもほぼ無料でこなしてしまいます。

つまり、「論理的に考えること」自体が、誰にでも安価に手に入るコモディティ(日用品)になってしまったのです。

状況一昔前(AI普及前)現在〜未来(AI普及後)
情報の整理・分析人間が時間をかけて行う(価値が高い)AIが一瞬で行う(価値が下がる)
論理的な文章・コード専門スキルとして重宝されるAIが正確に出力する(コモディティ化)

スキル習得に大金を払うことの危険性

あなたが数十万円と数ヶ月の時間をかけて基礎スキルを学んでいる間に、AIはさらに進化し、あなたが習得したスキルを「月額3,000円」で軽々と代行できるようになってしまう可能性が高いです。

AIが安価にやってくれることに、自分の高いお金と時間をベットするのか。それとも、そのお金を確実に成長し続ける「オルカン」に回すのか。
投資の世界の厳しさを知っているからこそ、私は「型化されたスキルの習得に大金を払う自己投資」は報われないと考えています。


マイクロ法人社長が実践する「超・低コスト」自己投資

では、私たちは成長することを諦めるべきなのでしょうか?いいえ、全く逆です。
今は、歴史上最も「お金をかけずに、質の高い自己投資ができる時代」なのです。

アーリーリタイア後にマイクロ法人を設立し、日々事業を運営している私が実践している、徹底してリスクを排除した「超・低コスト」な自己投資を3つご紹介します。

興味のある分野はAIサービスをフル活用する

新しいことを学ぶとき、今は月額数千円の課金で、世界最高峰の頭脳を持つ「専属の家庭教師」を雇える状態です。
私は、ChatGPTやGeminiに加えて、NotebookLM、Vrew、ElevenLabs、Microsoft Designerなどを日常的にフル活用しています。

プログラミングのコード生成、外国語の翻訳、デザイン作成など、高額なスクールに払う前に「AIを使い倒してどこまで自力でできるか試す」のが、最も合理的な学び方です。

実践の場としてのブログ&YouTube運営(ほぼ無料)

インプットした知識は、アウトプットして初めて「生きた経験」になります。
その実践の場として、私は当ブログやYouTubeチャンネル(マネーラジオ等)を運営しています。これこそが最強の自己投資です。

  • ブログ運営: サーバー・ドメイン代で年間約1万円程度
  • YouTube運営: 必要なのはAIサービスの利用料のみ

何十万円も払って「Webマーケティング講座」で座学を受けるよりも、年間1万円でサイトを立ち上げ、試行錯誤する方が何倍も濃い経験値が得られます。万が一失敗しても、失うのは1万円と少しの利用料だけ。「失敗しても痛くない」という安心感が、行動を続ける最大の原動力になります。

コストを抑えた税理士試験への挑戦

現在、私は税理士資格の取得を目指していますが、ここでも高額な予備校には通っていません。(※マイクロ法人の経理業務自体は日商簿記3級程度で十分対応可能です)。

専門性を高めるため、日商簿記1級の過去問を中心に、市販の問題集や学習アプリ(パブロフ簿記など)を使って独学を進めています。かかる費用は数千円〜数万円の書籍・アプリ代のみです。
わからない箇所はAIに質問すれば、驚くほどわかりやすく解説してくれます。高額な授業料を払わなくても、知識を深めることは十分に可能なのです。


まとめ:株式投資に資金を回しつつ、低リスクで自分をアップデートする

ここまで、「高額な自己投資」に対して私が懐疑的である理由をお話ししてきました。これからの時代の生存戦略をまとめます。

  • 「生存者バイアス」に惑わされない:成功者の声の裏にあるリスクを直視する。
  • 利益成長は「グローバル企業」に任せる:個人の資金力でオルカン企業群に勝つのは至難の業。
  • 「考えるスキル」のコモディティ化を自覚する:基礎スキルに大金を払うリスクを避ける。
  • 「超・低コスト」で実践経験を積む:AIと年間1万円以下のブログ等でアウトプットを積む。

「自分を成長させたい」という意欲は、人生を豊かにする素晴らしいものです。私自身、日々のブログ執筆や資格勉強を通じて、知的好奇心を満たすことを心から楽しんでいます。
しかし、そこに「高額なお金」をベットする必要はありません。

私たちが取るべき最も合理的なアクションプランは、投資資金は手堅くオルカンなどのインデックス投資に回して世界経済の成長に相乗りし、自己投資は「お金」ではなく「AI」と「行動量」でカバーすることです。

金銭的ダメージがない自己投資であれば、焦りやプレッシャーを感じることなく、純粋に学ぶことを楽しむことができます。
「自己投資には大金をかけるべき」という古い常識を手放し、優秀なAIツールを使い倒して、リスクゼロで自分自身をアップデートしていきましょう!

「聴くブログ」としても配信中

この記事の内容は、YouTubeチャンネルでも音声解説として公開しています。ブログでは書ききれなかった裏話や、私自身の率直な所感も交えてお話ししています。ラジオ感覚でぜひお楽しみください。

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