【期待値はマイナス】医療保険と会社員の共通点。お金持ちだけが知っている「リスク」の本当のコスト 

哲学

はじめに

「もし大きな病気になったらどうしよう」
「会社が倒産して、収入が途絶えたら…」

生きていると、このような「失敗」や「万が一の事態」に対する不安が必ず頭をよぎりますよね。とくに、大切な家族の生活を守らなければならない立場であれば、リスクを少しでも減らしたいと思うのは、人間としてごく自然な感情です。

しかし、世の中の「お金持ち(資本家)」と「そうでない一般の人」とでは、この「失敗した時のコスト(リスク)」に対する受け止め方が根本的に異なっているという事実にお気づきでしょうか。

今回は、私が過去に失敗した「医療保険」の経験談を交えながら、知らず知らずのうちに搾取されてしまう「リスクとコストの構造」についてお話ししたいと思います。

お金持ちと一般人で異なる「失敗(リスク)のコスト」の捉え方

結論から言うと、両者のリスクに対する捉え方の違いは以下のようになります。

比較項目一般的な考え方お金持ち(資本家)の考え方
リスクの正体絶対に避けるべき「恐怖」確率と金額で計算できる「数字」
万が一の備え保険会社などに「お金を払って」外注する自己資金(貯蓄や投資)で「自分で」カバーする
発生するコスト安心感を得るための「手数料」本来払う必要のない「期待値マイナスの出費」

多くの人は、リスクを「得体の知れない恐怖」として捉えます。行動経済学には「プロスペクト理論」という有名な法則があり、人間は「1万円を得る喜び」よりも「1万円を失う苦痛」を約2倍も強く感じてしまうことがわかっています。
(参考:野村證券 証券用語解説集「プロスペクト理論」

この心理的バイアスがあるため、私たちは万が一の損失を極端に恐れ、高いお金を払ってでも保険会社や大きな組織にリスクを押し付けようとしてしまいます。

一方で、お金持ちはリスクを感情ではなく「数学的な期待値」で処理します。彼らは、「他人にリスクを預ける(=外注する)ことには、莫大な見えないコストがかかっている」という残酷な真実を知っているのです。

私のしくじり体験:新社会人でなんとなく加入した医療保険

偉そうなことを書きましたが、私自身、最初からそんな合理的な考え方ができていたわけではありません。むしろ、過去には典型的な「失敗のコスト」をしっかりと支払ってしまった経験があります。

社会人になりたての頃、実家に帰省すると親が保険の外交員さんを呼んでいました。
「社会人になったんだから、保険くらい自分で入っておきなさい」
「若いうちに加入したほうが、毎月の保険料がずっと安く抑えられるからお得ですよ」

親の温かい親心とプロの営業トーク。当時の私は期待値の計算など思いつきもせず、「周りの同僚も入っているらしいし、大人になるってそういうものかな」と、勧められるがままに医療保険に加入してしまいました。

(実際、生命保険文化センターの調査によれば、生命保険の世帯加入率は約9割近くにのぼります。
参考:生命保険文化センター「生命保険の加入率はどれくらい?」

10年間で失った「見えないリターン」

それから約10年間、毎月せっせと医療保険を払い続けました。しかし、マネーリテラシーを学び、期待値の概念を理解したことで、その医療保険はきっぱりと解約しました。

現在、私が加入している民間保険は以下の2つだけです。

  • 火災保険(賃貸マンション契約上、必須)
  • 個人賠償責任保険(家族全員が自転車に乗るため、他者への数千万円規模の損害賠償に備えるもの)

なぜ医療保険をやめたのか。それは、支払った保険料そのものよりも、「見えないコスト(機会損失)」があまりにも大きいことに気づいてしまったからです。

仮に、毎月の保険料が5,000円だったとします。10年間で支払う金額は60万円です。掛け捨てであれば、病気をしなかった場合、手元には1円も残りません。

では、この5,000円を全世界株式(オルカン)などのインデックスファンドで運用していたらどうなっていたでしょうか?

経過年数保険会社に払った額(掛け捨て)インデックス運用した時の評価額(年利5%想定)
1年後6万円約6.1万円
5年後30万円約34.0万円
10年後60万円約77.6万円

※金融庁「資産運用シミュレーション」を参考に概算

私は安心感と引き換えに、60万円という現金を失っただけでなく、「投資していれば得られたはずの約17万円の利益」も手放していたのです。

日本には世界最強クラスの公的医療保険である「高額療養費制度」があります。ひと月の医療費の上限が決められているため、手元に77万円の現金があれば、大抵の入院や手術は自己資金で十分にカバーできてしまいます。
(参考:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」

保険の構造的真実:「マイナスサムゲーム」の罠

なぜ、保険に入ると期待値がマイナスになるのでしょうか。
それは、保険会社の「利益構造」に理由があります。

損害保険会社や生命保険会社の決算を見ると、経常利益率は概ね10%前後で推移しています。この利益がしっかり出ている時点で、私たちが保険料を払う行為はマイナスリターンからのスタートになります。

保険料は大きく2つに分かれています。

  • 純保険料: 本当に困った人へ支払われる保険金の原資(相互扶助の部分)
  • 付加保険料: 保険会社の人件費、広告費、自社ビル維持費、そして会社の利益

テレビCMの莫大な広告費も、優秀な社員のお給料も、すべて私たちが支払う「付加保険料」から捻出されています。

投資の世界には「サムゲーム」という言葉がありますが、保険は構造上、明確な「マイナスサムゲーム」です。胴元(保険会社)が絶対に損をせず、手数料を抜き取った後の残りカスを参加者で分け合う仕組みだからです。

だからこそ、民間保険は「個人の貯金では到底カバーできない破滅的なリスク(数千万円の損害賠償や火災など)」に対してのみ利用すべきなのです。

会社員も実は同じ?私たちが会社に支払っている「見えない対価」

実は、この「保険会社と保険加入者」の関係は、私たちが当たり前のように受け入れている「会社(雇用主)と会社員(従業員)」の関係と非常に似ています。

以前の記事(【情報の非対称性】労働市場で「買い叩かれない」ために)でも書いた通り、会社員という働き方は「リスクを会社に引き受けてもらうことへの対価(プレミアム)を支払い続けている状態」とも言えます。

会社員は「給料」という形で毎月定額のお金をもらえます。事業が赤字でも、個人の貯金から補填しろとは言われません。この安定感は魅力的です。
しかし、あなたがどれだけ頑張って会社の業績を伸ばしても、給料として還元される額には上限があります。生み出された利益の大部分は会社のものになり、最終的にはリスクを取っている「株主」のものになります。

つまり、保険も会社も「リスクを他人に預けて安心を買う側」が常にコストを払い、「リスクを引き受ける側(胴元・株主)」が最終的に最も大きなリターンを得るという点で共通しているのです。

結論:他人にリスクを預けず、リターンを独占せよ

この事実を知った私たちが、今日から取るべきアクションは非常にシンプルです。

「許容できるリスクは自分で引き受け、浮いたコストをすべてインデックス運用に回す」

貯金でカバーできる医療保険などは思い切って解約し、浮いた毎月数千円〜数万円を自分のための投資資金として取り戻します。そして、その資金を全世界株式(オルカン)などの優良なインデックスファンドに積み立てることで、胴元に手数料を抜かれることなく、リターンをすべて自分のものにするのです。

私自身、かつては会社員として組織にリスクを預け、当たり前のように医療保険に加入していました。しかし、そこから抜け出し、マイクロ法人を設立して自ら事業と資産を管理するようになってから、世界の見え方が180度変わりました。

「自分で会社を管理する」と聞くとハードルが高く感じるかもしれませんが、過剰に恐れる必要はありません。たとえば、マイクロ法人の日々の経理や事業管理において高度な専門知識は不要であり、実のところ日商簿記3級程度の知識があれば十分に回していくことが可能です。

大切なのは、「難しいから」「不安だから」とプロ(保険会社や会社)に丸投げするのをやめ、自分自身の頭で考えてコントロールすることです。
価格変動リスクを自分の心と資産で受け止めるからこそ、長期的なプラスのリターンという果実を誰にも奪われずに「独占」できます。

最後に:今日からできる小さな一歩

とはいえ、いきなりすべてを変える必要はありません。
まずは今日、「自分が毎月払っている保険料の合計額」「給与明細から引かれている控除額」をスマホで確認してみてください。

そのリアルな数字と向き合うことが、搾取される側から抜け出し、あなたの人生を豊かに変えるための最初の一歩になります。

「聴くブログ」としても配信中

この記事の内容は、YouTubeチャンネルでも音声解説として公開しています。ブログでは書ききれなかった裏話や、私自身の率直な所感も交えてお話ししています。ラジオ感覚でぜひお楽しみください。

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