「何もしない」が一番のギャンブル。無意識の現状維持から抜け出すサバイバル思考

こんにちは。元ポスドクで現在はマイクロ法人代表のメガネおじさんです。

毎日のお仕事、本当にお疲れ様です。
目の前の業務や家事に追われていると、気づけば1日、そして1週間があっという間に過ぎてしまいますよね。忙しい日々の中で、人生の大きな方向性についてじっくり考える余裕なんて、なかなか持てないのが現実だと思います。

今回は、私たちが日々陥りがちな「ある思考の罠」についてお話しします。少しだけ肩の力を抜いて、お付き合いいただければ嬉しいです。

はじめに:私たちは「選ばない」という選択を常に行っている

私たちは日常的に、何か新しい行動を起こすこと(例えば、転職する、投資を始める、新しいビジネスを学ぶなど)を「大きな選択」だと捉えます。

一方で、今のままの生活を続けることは「何も選択していない」、つまり「ノーリスクで安全な状態」だと思い込んでしまいがちです。

しかし、実はここに大きな誤解があります。
少し厳しい言い方になってしまうかもしれませんが、私たちは「行動しない(あえて選ばない)」ということによって、強烈に「今の状態を維持する」という選択を常に下し続けているのです。

以下の表を見て、ご自身の認識と照らし合わせてみてください。

あなたの行動と認識実際の状態(社会・経済における意味)
「新しい行動を起こす」
(例:投資を始める、転職活動をする)
変化する環境に適応しようとする「能動的な選択」
「今のままでいる」
(例:現金のまま置く、今の会社に留まる)
「現状維持というポジション」をとり続ける「無意識の選択」

なぜ、私たちが「現状維持=安全」と錯覚してしまうのでしょうか。
それは、あなたが怠けているわけでも、知識がないわけでもありません。人間の脳の仕組みそのものに原因があります。

行動経済学や心理学の世界では、これを「現状維持バイアス」と呼びます。
人は、未知の変化によって得られるかもしれない「利益」よりも、変化によって失うかもしれない「リスクや損失」の方を過大に評価してしまう生き物なのです。
(参考:現状維持バイアス – Wikipedia

「よくわからないし不安だから、とりあえず今のままでいいや」

この感覚自体は、人間としてごく自然な防衛反応です。
実際、高度経済成長期からコロナ禍前のデフレ時代にかけては、社会全体が安定していたため、この「受動的な現状維持」が結果的に最も安全なレールでした。

しかし、時代は大きく変わりました。
周りの環境(物価や社会構造)が激変している中で「自分だけが変わらない(現状維持)」という選択を無意識に続けることは、気がつかないうちに「最もリスクの高いギャンブル」になっているのです。

投資しない=「現金100%」というリスキーな選択

「投資は損をするかもしれないから怖い。現金で持っていた方が安心だ」
日々、汗水垂らして働いて得た大切なお金ですから、そう考えたくなるお気持ちは痛いほどよく分かります。

確かに、コロナ禍前のデフレ時代までは「現金として銀行に置いておく」というのは、資産を守る上で一つの合理的な行動でした。
しかし、私たちが生きている現在の環境は激変しています。

スーパーに並ぶ食料品から光熱費まで、あらゆるものが値上がりしているのを肌で感じていませんか?
例えば、私たちが子供の頃から親しんでいる「うまい棒」。長らく10円のイメージが強いですが、現在では15円に値上がりしていますよね。

これは裏を返せば、「実質的な現金の価値が落ち続けている」ということです。

事実、総務省のデータをもとにした消費者物価指数(CPI)の推移を見ると、新型コロナウイルス感染症の蔓延が始まった2020年を基準とした場合、近年で約10%以上も物価が上昇しています。
(参考:日本&世界の物価を比較 – ELEMINIST

これは大げさな話ではなく、たった数年で、同じ100万円で買えるモノの価値が、およそ90万円分以下にまで目減りしてしまったのと同じ状態なのです。

資産の持ち方インフレ局面での実質的な価値その状態の「本当の正体」
現金のみ
(銀行預金など)
確実に目減りする
(通帳の額面は減らないが、買えるモノの量が減る)
投資を避けているのではなく、「日本円という現金に100%集中投資する」という極端なリスクを取っている
株式など
(インデックス投信など)
⭕️ 恩恵を受けやすい
(物価上昇に伴い企業の売上も上がり、価値に反映されやすい)
企業の成長に資産の置き場所を分散し、インフレから資産を防衛している

多くの方は「投資をしない」ことで、安全な場所にいると思っています。
しかし、資本主義のルールに照らし合わせると、投資をしない人は「自分の全資産を『現金』という、価値が下がり続けている資産に100%集中させ続ける」という、極めてリスクの高い選択を【自ら】下していることになります。

「何もしない(=現金を持ち続ける)」ことは、決して安全なシェルターではありません。確実に自分の資産が削られていく「一番のギャンブル」になってしまっている事実に、まずは気づく必要があるのです。

「今の会社に居続ける」のも、あなたが選んだ結果である

お金の話から、今度は私たちの「働き方」や「キャリア」に視点を移してみましょう。
実はこちらも、先ほどの「現金100%」と全く同じ構造になっています。

毎朝決まった時間に起き、満員電車に揺られて同じ会社に出社する。
日々のルーティンをこなしていると、まるで自分がベルトコンベアに乗せられて、ただ「現状維持」をしているだけのように錯覚してしまいますよね。

しかし、厳しい事実をお伝えします。
あなたは毎日、意識しているかどうかにかかわらず「今日もこの会社で働き続ける」という強烈な選択を下し続けているのです。

もし、あなたが「今の会社の給料、やりがい、人間関係が、自分にとって最高のリターンをもたらしてくれる」と確信して、あえて今の会社に残っているなら、それは素晴らしい「能動的な選択」です。

しかし、「転職活動をするのも面倒だし」「他に行く当てもないから」「とりあえず今のままでいいや…」と留まっているのだとしたら、それは少し立ち止まって考えるべきサインです。

私は過去に「大企業に入れば一生安泰」という常識が一瞬で崩れ去る出来事(勤めていた上場企業の倒産)を目の当たりにしました。
その時、骨の髄まで理解したのです。
「自分の人生の生殺与奪の権を、たった一つの会社に握らせてはいけない」と。

「今の会社に居続ける」という無意識の選択は、投資の世界で例えるなら、「業績がどうなるか分からない一つの銘柄(会社)に、自分の全財産(人生の貴重な時間)を突っ込んでいる」のと同じです。
これは、現金100%で資産を持っていること以上に、恐ろしいギャンブルだと言えないでしょうか。

誤解していただきたくないのですが、「今すぐ会社を辞めて起業しろ」「絶対に転職しろ」と煽っているわけではありません。

大切なのは、「なんとなく居続ける」という自動操縦モードを解除することです。
自分の意思で、「数ある選択肢の中から、今はあえてこの会社を選んで働いているのだ」という人生の主導権(コントロール感)を取り戻すことが、本当の意味でのリスクヘッジになるのです。

待っていても新しい選択肢は絶対に降ってこない

ここまで読んで、「今の会社に依存しない別の選択肢を探すべきだとは分かった。でも、そもそも自分には他に行ける会社なんてないし、選べるような選択肢がないんだよ」と感じた方も多いのではないでしょうか。

そのお気持ち、とてもよく分かります。
毎日クタクタになるまで働いて、休日は疲れをとるだけで精一杯。そんな状況で「新しい道を探せ」と言われても、すぐにはピンとこないですよね。

しかし、ここで一つ、あえて厳しい現実を正直にお伝えさせてください。
口を開けて待っているだけで、向こうから都合よく「新しい選択肢」が降ってくることは、これからの時代、絶対にありません。

前回の記事でも触れた通り、高度経済成長期から続く「昭和のモデル」では、私たちは受動的でも生きていけました。
しかし、今は違います。
「選択肢がないから選べない」のではありません。「自ら能動的に動かないから、新しい選択肢が生まれない(見えない)」というのが、現代のルールなのです。

分野ゼロからの「能動的な行動」行動によって生まれる「新しい選択肢」
お金(投資)ネット証券の口座を開設する「NISAで投資をする」という選択肢が生まれる
キャリア(転職)転職エージェントに登録する自分の市場価値が分かり「より条件の良い他社へ移る」という選択肢が生まれる

投資の世界では、「口座を開設する」という最初の行動を起こさなければ、永遠にスタートラインにすら立てません。
キャリアも同じです。「転職エージェントに登録する」という行動を起こさない限り、あなたがどれだけ優秀でも、スカウトのメールが届くことはありません。

「行動」が先で、「選択肢」は後からついてくる。

これが、自己責任を求められる現代のサバイバル戦略です。
現状維持という心地よい自動操縦モードから抜け出し、自分にとって本当に有利なポジションを獲得するためには、まずは「小さな一歩」を踏み出して、自分の目の前にカード(選択肢)を並べる必要があるのです。

アクションプラン:無意識の「自動操縦モード」を今日から解除する方法

ここまで少し厳しい現実もお伝えしてきましたが、決して焦る必要はありません。
大切なのは、今この瞬間から「選ばない(何もしない)」という現状維持のパスを手放し、「自ら選択肢を作りに行く」という小さな一歩を踏み出すことです。

明日になれば、またいつもの忙しい日常が始まり、モチベーションは必ず下がってしまいます。だからこそ、「今日」動くことが重要なのです。

無意識の自動操縦モードを解除し、人生をマニュアル操作(手動)に切り替えるための、3つの具体的なアクションプランをご提案します。どれか一つでも構いませんので、今日、この記事を読み終えた直後に実行してみてください。

Step1:お金の選択肢を作る(ネット証券の口座開設)

まだ投資を始めていない方は、まずは「現金を投資に回せる環境」だけを作ってしまいましょう。
実際に株を買うかどうかは後で決めればいいのです。

  • 具体的な行動: SBI証券や楽天証券などのネット証券で、口座開設の申し込みをする。
  • ポイント: スマホから10分程度で無料で完了します。「口座を開く」という行動自体が、強力な現状維持バイアスを打ち破る最初の一撃になります。

Step2:キャリアの選択肢を作る(外の世界を覗く)

「今の会社しかない」という視野狭窄から抜け出すための行動です。
転職するつもりがなくても、自分の現在の市場価値を客観的に知ることは、今の会社と対等に付き合う(健全な線引きをする)ための強力な武器になります。

  • 具体的な行動: 大手の転職エージェントに1社だけ登録してみる。
  • ポイント: 職務経歴書を完璧に書く必要はありません。まずは登録し、世の中にはどんなポジションがあるのかを「眺める」だけでも、新しい選択肢が見えてきます。

Step3:資本主義のルールを知る「視点」を手に入れる

会社員というポジションを客観視し、ビジネス(資本家)側のゲームのルールを知るためのインプットを始めましょう。会社の外に「自分のビジネス」を育てるための基礎体力になります。

  • 具体的な行動: 橘玲さんの著書など、お金や社会の構造を論理的に描き出した金融リアリズムの書籍を1冊読んでみる。あるいは、企業のお金の流れを根本から理解するために「簿記」の勉強(まずは3級から、ゆくゆくは企業の退職給付や減損処理まで見通せる1級レベルの深い理解へ)を始めてみる。
  • ポイント: 借方・貸方のロジックや「世の中のお金はどう流れているのか」というシステムの仕組みを知ることで、無意識に会社へ依存してしまうマインドセットを強制的にリセットできます。

私たちは、意識化・無意識化に関わらず常に選択をしています。
だからこそ、これからの不確実な時代を生き抜くためには、「自分の人生の主導権は、自分の手で握る」という強い意志が必要です。

どうか、昭和のレールという幻想から目を覚まし、あなた自身にとって本当に有利な選択を重ねていってください。
あなたの人生のハンドルは、他の誰でもない、あなた自身の手にあります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
メガネおじさんでした。

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