挑戦をためらう時、人は「やらない理由」を無意識に探している
何か新しいことを始めようと思い立った時、「やっぱり今さら始めても遅いかな」「自分には向いていないかも」と、心の中でそっとブレーキをかけてしまうことはありませんか?

実はこれ、あなただけではなく、多くの人が経験するごく自然な心の動きなのです。決してあなたが消極的なわけではありません。
私たちは新しい挑戦を前にして躊躇している時、無意識のうちに「やらない理由」を探し始めてしまいます。そして、ふと時間が空いた時や、一人でじっくり考え事をしてしまう時に限ってそのことが頭に浮かび、ずっとモヤモヤと悩み続けてしまうのです。
| 思考のステップ | 心の中で起きていること | 実際の結果 |
|---|---|---|
| 1. 興味・関心 | 「これ、やってみたいな」「必要かもしれない」と思う。 | 前向きなエネルギーが生まれる。 |
| 2. 躊躇・不安 | 「でも、時間がない」「今更遅いかも」と壁を感じる。 | 行動がストップする。 |
| 3. 理由探し | 「どうせ上手くいかない」「自分には合わない」と理由を集める。 | やらない自分に納得しようとする。 |
| 4. 長期化 | 本当は気になっているので、ふとした瞬間に何度も思い出して悩む。 | 大切な時間と精神力を消耗する。 |
このように、やらない理由を探し続ける時間は、心に負担をかけるだけで、なかなか前には進めません。

インデックス投資や新しい学びの壁になる自己正当化
たとえば、インデックス投資での積立を例に考えてみましょう。
「もう定年が近いから、今さら積立を始めても間に合わない」
「毎月少額しか投資に回せないから、どうせ大した資産にはならない」
そんな風に考えて、投資の第一歩を踏み出せない方は非常に多くいらっしゃいます。しかし、冷静に計算してみると、少額であってもコツコツ続けることで得られる「複利の効果」は確実に存在します。
参考情報:金融庁のシミュレーションを活用して実際の数字を見てみると、少額からでも、今からでも始める意味が十分にあることがわかります。金融庁 資産運用シミュレーション
それなのに、客観的な事実を前にしても私たちが立ち止まってしまうのはなぜでしょうか。
それは、心理学で言うところの「自己正当化」が働いているからです。「やらない」という現状を維持するために、「遅すぎる」「意味がない」といったもっともらしい理由を後からくっつけて、行動しない自分を必死に守ろうとしているのですね。
結局のところ、やらない自分を正当化するために悩んでいる「モヤモヤした時間」は、何も生み出しません。やりたいことを躊躇してモヤモヤし続ける時間は、人生において想像以上に長く、そして苦痛に感じるものです。
「ずっと前からやっている人には勝てない」という思い込み
「やらない理由」を探してしまう心理の裏には、もう一つ厄介な感情が隠れています。それは、「今から始めても、ずっと前からやっている人には到底追いつけない」という他人との比較です。
何か新しいスキルや勉強を始めようとした時、「学生時代からその分野を専門に学んでいる人」の存在がちらつきますよね。「そんな彼らに今さら勝てるわけがない」と考えると、途端に始める気が失せてしまいます。

しかし、ここで少し立ち止まって考えてみてください。
あなたが何かを始めようと思った時、その本当の目的は「誰かに勝つこと」だったでしょうか?
多くの場合、私たちが何かを始める目的は「自分の生活を豊かにするため」であり、誰かと競争して打ち負かすことではないはずです。それなのに、無意識のうちに「勝ち負け」の土俵に上がってしまい、勝手に自信をなくしてしまっている。これもまた、やらないための立派な「言い訳」になってしまっています。

半導体エンジニアだった私が、会計知識ゼロでぶつかった葛藤
実は私自身も、この「ずっと前からやっている人には勝てない」という思い込みに深く囚われ、新しい一歩を踏み出せずにいた時期がありました。
私の場合は、「会計の勉強」でした。
私は学生の頃から長年ずっと半導体の世界にどっぷりと浸かり、エンジニアとして働いてきたため、実務上、会計の知識がなくても何の支障もありませんでした。また、資産運用にしても、インデックス投資を利用していれば専門的な会計知識は特に必要ありません。
だからこそ、40歳を超えてからいざ「会計の勉強をしてみようかな」と思い立った時、強烈なためらいを感じたのです。

「学生時代から会計を学んでいる人たちと比べたら、あまりにも時間的なハンデが大きすぎる」
「40代になってから今さら始めるなんて……」
そうやって、「学生時代から会計をやっている見えない誰か」と自分を比較し、時間的に不利であることを理由にして、始めることを躊躇してしまいました。本心では「やってみたい」という気持ちがあるのに、頭では「今さら遅い」と自分を正当化する。この矛盾した状態は非常に居心地が悪く、ふと時間ができるとまたそのことばかり考えて消耗していました。

ゼロから始めて分かった、思考が「前進」に変わる瞬間
見えない誰かと比較して悩む時間を断ち切り、私は結局、40歳を超えてから会計の勉強をゼロからスタートしました。
「今さら遅いのではないか」とあんなにも長い間ためらっていたにもかかわらず、いざ始めてみると、自分でも驚くほどあっさりと心境が変化しました。最も重かったのは、「やるか、やらないか」を迷っている期間の扉を開ける瞬間だけだったのです。
モヤモヤが消え、「どう上手くやるか」に意識が向く
一旦その扉を開けて足を踏み入れてしまうと、「なぜこんな年齢から始めてしまったのだろう」と後悔することは一切ありませんでした。
それよりも、「どうすればこの新しい知識を習得できるだろうか」「目の前の課題をどうクリアしようか」という、極めて生産的な思考へと一瞬にして切り替わったのです。
テキストを開き、具体的な課題に向き合い始めると、脳は「やらない言い訳」を探すのをやめ、目の前のことを「どう上手くやるか」という解決モードにフル回転し始めます。
迷っている時は「やるべきか、やらないべきか」という答えの出ない問いにエネルギーを消耗していました。しかし、一度決断して手を動かし始めると、そのエネルギーのすべてが「前進するための推進力」へと変換されるのです。
モヤモヤ悩み続ける時間と、新しい知識を吸収して前に進む時間。どちらが純粋に「楽しい」と感じられるでしょうか。答えは圧倒的に後者でした。

自分の心の資源を、コントロールできる事にだけ使う
会計の勉強をいざ始めてみて、もう一つ大きな驚きがありました。
それは、あんなに気にしていた「学生時代から会計を勉強している人たち」の存在が、パタリと気にならなくなったことです。
比較の呪縛から解放された理由は、行動を起こしたことで、「自分の心の資源(エネルギー)を、コントロールできる事にだけ使うようになったから」だと思います。
始める前までの私は、「自分の年齢」や「他人の圧倒的な経験値」という、自分ではどう頑張ってもコントロールできないことに心の資源を浪費していました。変えられないものを変えようとするから、苦しかったのです。
しかし、学びのプロセスに入ると、目の前には「この過去問をどう解くか」「今日の学習時間をどう確保するか」という課題が現れます。これらはすべて、自分の努力次第でコントロールできることです。
そうやって自分にできることだけに100%集中し始めると、他人が何年勉強していようが本当に関係なくなります。他人を変えることや、過去に遡ってやり直すことは誰にもできません。しかし、「今この瞬間、自分が何をするか」は、自分自身で完全にコントロールできるのです。

まとめ:人生を最高に楽しく、あっという間に感じさせる生き方
自分のコントロールできることだけに集中し始めると、時間は驚くほどのスピードで過ぎていきます。
「やらない理由」を探してモヤモヤしていた頃の、あの長くて重苦しい時間とは対照的に、目の前の新しい挑戦に向き合っている時間は、あっという間に過ぎ去り、そして何より「楽しい」のです。
40歳を超えてゼロから会計の勉強を始めたことで、私は一つの確信を得ました。
それは、何か夢中になってやっている時、人生は短く楽しく感じますが、やりたい事をやらない人生は長くつまらなく感じるということです。
「今さら遅いのではないか」「少額の積立投資なんて意味がないのではないか」
そんな風に躊躇して立ち止まっている時間は、自分を正当化するための言い訳を探すだけの、本当にもったいない時間です。
一度きりの人生です。周りを気にせず、今自分にできることに集中して、短くも最高に楽しい時間を過ごしませんか?

【今日からのアクションプラン:ゼロの1歩を踏み出そう】

大げさな準備は一切必要ありません。今日、これから過ごす時間の中で、たった5分間だけでいいので、ずっと気になっていたことに手をつけてみてください。
- 投資が気になっているなら、証券会社の口座開設ページを開いてみる。
- 資格や学びが気になっているなら、関連する本やWebサイトを5分だけ読んでみる。
- やりたいことが漠然としているなら、紙とペンを用意して思いつくままに書き出してみる。
どんなに小さな行動でも、それは「やらない理由」を探すループから抜け出し、あなたの人生を前進させるための確実な第一歩になります。「今」が、これからの人生で一番若い日です。どうかモヤモヤを捨てて、あなただけの新しいスタートを切ってみてください。

「聴くブログ」としても配信中
この記事の内容は、YouTubeチャンネルでも音声解説として公開しています。ブログでは書ききれなかった裏話や、私自身の率直な所感も交えてお話ししています。ラジオ感覚でぜひお楽しみください。


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